座間市の猟奇殺人事件は捜査が進み、被害者9人全員の身元が判明した。現場のアパートで見つかったカードなどから被害者の可能性が高い人を絞り込み、家族の協力を得てDNA鑑定で特定。東京、埼玉、群馬など1都4県の15歳から26歳の男女だった。
 容疑者が被害者と知り合ったのは、ほとんどがSNSのツイッターだった。「死にたい」などと人生に悲観的なツイートをしている女性に対し、「一緒に死にましょう」と寄り添うふりをし、アパートに誘い込んで計画通り殺害した。
 報道を見る限り、調べに対しては黙秘することもなく、素直に供述しているようにみてとれる。被害者については「本気で死のうと考えている人はいなかった」といい、死ぬ気もない人の命を奪ったのだという。
 通常、容疑者は警察の調べに対してうそをついてごまかそうとしたり、つじつまが合わない点が出てくることも多いはず。しかしこの容疑者は淡々と、犯行の手口も詳細に説明するなど、よすぎる往生際が気色悪い。
 雪山で行方不明となったり、医師に意識は戻らないと宣告されたり、生存や回復が絶望的であればあるほど、家族は奇跡を信じ、精神のバランスを保とうとする。現場から娘のかばんやキャッシュカードが見つかっても、何かの間違いだと現実に目をつぶってきたが、DNA鑑定により希望は絶たれた。
 被害者の中には、思春期から長いひきこもり生活が続き、唯一の支えだった母親が最近、病気で亡くなった人がいた。生きていくことが寂しく困難で、死よりもつらいと感じていたかもしれない。そんな守られねばならない人ばかりが狙われたこの事件。国は再発防止対策とともに、被害者家族の精神面のケアを。(静)