総合進学塾、英数スタディー(御坊市藤田町藤井)で現代文・古文・英語の講師を務める傍ら小説執筆や俳句、短歌を趣味とする林晋作さん(43)=御坊市野口=は、このほど2つの俳句全国大会で入選を決めた。
 林さんは20年ほど前から小説を執筆しており、その流れで俳句、短歌も詠むようになった。俳号は水村凜。今回は第71回芭蕉翁献詠俳句、第101回千代女全国俳句大会で入選した。芭蕉翁献詠俳句の入選作品は「世のなかの倦怠揺らす春の雷(らい)」、千代女全国俳句は「加賀鳶の墓に掛けをり秋の水」。千代女とは「朝顔に釣瓶とられてもらい水」等で知られる江戸時代の俳人加賀千代女。
 林さんは入選作品について「厳しい冬からのどかな春になると、だんだん倦怠の気分に覆われる。そこへ夏ほど激しくない春雷が、世の中の気分を揺り動かすようにゴロゴロと低く鳴ってくる、という句です。『加賀鳶』は加賀藩の前田家が江戸藩邸で抱えていた大名火消し。粋でいなせで江戸の火消しでも特に人気があり、皆の憧れの的だったそうです。その鳶の墓に、きりりと冷たく澄んだ秋の水を掛けているという情景を詠んだ句。加賀千代女にちなみ、加賀を詠み込もうと考えました」と解説。「この入選によって、芭蕉とも加賀千代女とも縁ができたような気がしてうれしいですね」と喜びを話している。
 林さんは小説誌「オール讀物」(文藝春秋)の短歌欄にも投稿を続けており、今月発売の10月号では最高の天賞を受賞した。作品は「東雲(しののめ)の花火のような色恋をするしかなかった戦時最中(さなか)は」。向田邦子原作のドラマなどで戦時中の若者の思いに触れて詠んだという。