陸上日本学生対校選手権男子100㍍で、東洋大4年生の桐生祥秀が9秒98の日本新記録で優勝した。「最も9秒台に近い」といわれながら、次々と出てくる新星に抜かれ、今大会も注目度は高くなかっただけに、ライバルを抜き去っての快挙に、さぞ「どや感」も大きいはず。
いうまでもなく、勝負の世界を生き抜くには強い肉体はもちろん、負けん気と困難を乗り越える不屈の精神力がなくてはならない。それが表面に出るか出ないかの違いはあれど、大記録を達成した桐生選手は本人も常々、「負けたくない」と口にしていた。
昨年6月のリオ五輪代表選考会のレースでまさかの3位に終わり、インタビューの途中で子どものように泣いていたのを思い出す。「負けて泣くな」という厳しい声もあったが、逆に今回の快挙は終始にこにこ。栄光の涙はまだまだ先にあるということか。
今回、桐生に敗れ2着に終わった同い年の多田修平は、10秒07の自己新をマークしたが、「目の前で9秒台を出されてめちゃくちゃ悔しい」と率直に心境を明かし、「9秒台も近づいている。もっと筋力をつけ、桐生選手を超えていきたい」とリベンジを誓った。
まさに切磋琢磨、負けた悔しさが力になる好例。同様に、スポーツ界は陸上だけでなく、若い日本人の活躍が目覚ましい。先の世界柔道は男女ともメダルラッシュに沸き、バドミントン、卓球、レスリング、水泳など、それぞれに新星が登場している。
東京五輪開幕まであと1046日。選手にとってこれが短いのか長いのか。素人には分からないが、オリンピックのひのき舞台で、日本人が一瞬の風になって駆け抜け、美しい歓喜の涙を見せてほしい. (静)

