8~9月は台風シーズン。日本列島に一番多く接近・上陸する時期だ。近年の温暖化で海水温が上昇している影響で、台風が北上しても勢力が衰えにくくなっているともいわれ、強い勢力を保ったまま日本列島に近づいてくる大型台風も増えている。
 強い台風5号の動きが気になる。先月21日に発生したあと、迷走しながら進行。5日午前6時50分現在の発表によると、屋久島の南約110㍍でほとんど停滞。中心気圧は965ヘクトパスカルで中心付近では秒速35㍍の強風で、最大瞬間風速は50㍍。大きな特徴は速度が遅いこと。そのため進路の予想が難しく、気象予報士泣かせだという。速度が遅いということは通過する時間が長時間となるため、強風や降雨も長い時間にわたって続くことになり、大きな被害が発生しやすくなる。
 6年前の台風12号もゆっくりとした速度で北上し、紀伊半島に接近した。記録的な降雨となり、紀南地方を中心に甚大な被害が発生し、県内では死者56人、行方不明は5人となった。日高地方でも日高川町で3人(行方不明1人)、みなべ町で1人の尊い命が奪われた。災害被害を風化させず後世へと伝え、教訓として生かすことが犠牲者に対しての追悼となる。
 短時間に避難対応を要する津波、いつ起こるか分からない地震と異なり、台風は事前に予想することできる。極端なことを言うと、来る前に進路から遠く離れた場所に逃げてしまえば台風で命を落とすことは考えられない。夏休みで旅行やキャンプなどの家族計画もあると思うが、台風5号の進路や降雨などの情報確認が必要だ。家庭や職場でも防災用具を確認し、いざという時は早めの対応を心がけることが重要。    (雄)