将棋界の新星、藤井聡太四段が前人未踏の29連勝を達成した。強さうんぬんは別にして、14歳のスターのおかげで全国各地の将棋教室は盛況で、将棋盤や本も売れているという。脚光を浴び、人気が高まって競技人口が増えれば、将来にまた〝超人〟が現れる確率はグンと上がる。勝っても負けてもニュースになる、まさに時の人であり、日本の将棋界への貢献度は図りしれない。どんな分野、競技にもいえることだが、やはりスターの存在は業界を活性化し、子どもたちを夢へと導く。
 陸上短距離界もいま、大きな注目を浴びている。スター選手が5人もいるという過去にない戦国時代。並み居る強豪を抑え10秒05という日本歴代6位の記録で日本選手権100㍍を制した18歳のサニブラウン、日本歴代2位、現役では最速の10秒01の記録保持者桐生祥秀、歴代4位10秒03の山県良太、歴代8位10秒08のケンブリッジ飛鳥と多田修平。10秒0台の選手5人のガチンコ勝負は見応えたっぷりだった。日本人初の9秒台はお預けとなったが、近い将来実現する予感を感じさせてくれた。
 決勝のテレビ放映は、視聴率が13%を超えたというのだから、多くの国民が熱視線を注いでいた証拠。多くの子どもたちも目にしたことだろう。0・01秒、人のまばたきの10分の1の一瞬を争う勝負は、肉体の究極の闘いと言っていい。オリンピックの花形でもある陸上100㍍。日本人が憧れの9秒台をたたきだし、決勝の舞台に立つのも夢ではないかもしれない。そんな可能性を子どもたちも感じたことだろう。最初に10秒の壁を破るのは誰か、いまはまだ無名の選手かもしれない。チャンスは誰にでもある。    (片)