県の由良港防波堤整備事業の起工式が、27日に由良中学校体育館などで行われる。事業化されたのは、平成24年度。それから5年。やや年月がかかってしまったが、地元関係者の理解を得て、ようやくの現場着手となる。
 総事業費は約50億円で、日高地方では最大規模の津波対策。神谷側から延長350㍍、日高町柏側から延長100㍍の防波堤を整備する。由良港の沿岸には、民家密集地や海上自衛隊の基地のほか、大手誘致企業などもあり、大きな津波被害が心配される地域。県によると、防波堤の完成は10年後の平成38年度を予定している。しかし、地震が発生する確率は年々高まっており、一日も早い完成が期待される。県が進める「津波から逃げ切る支援対策プログラム」は、36年度までに完了させる計画となっているが、今回の防波堤整備も同プログラムの一環。ならばより一層事業スピードをアップさせてほしいものである。
 期待の防波堤だが、当然ながら津波から100%守ってくれるというものではない。東日本大震災では、岩手県宮古市田老地区(旧田老町)も津波で壊滅的な被害を受けた。日本でもトップクラスのスーパー堤防を築いていたにもかかわらず、大津波が堤防を越えてきたのである。そして、堤防があったがゆえに地域住民には油断があったともされる。
 ただ、某国会議員のように、防波堤を「不要」とするのは、防災面や公共工事の意義から見て、受け入れがたい。防波堤はないよりもあった方がいい。大切なのは油断しないこと。由良港での整備が、地域住民を守るとりでとなることを期待する半面、これを契機に防災意識を一層向上させてほしいと願う。   (吉)