県立医科大は12日、同大外科学第2講座の山上裕機教授を中心とする研究チームが、日本で初めてとなるがん患者に対する樹状細胞ワクチンの医師主導治験における治験製品投与を開始したと発表した。
樹状細胞ワクチンとは、患者のリンパ球のみを採取する成分採血により、がんを攻撃するT細胞(CTL)を活性化させる樹状細胞を体外で成熟化させ、その樹状細胞にがんの目印となるがん抗原(ペプチド)を取り込ませた細胞。これを注射でわきの下などの皮膚に投与することでCTLが活性化し、がん細胞のみを狙って効率的に攻撃する。
県立医科大は西日本の医療機関で最も多いすい臓がんの手術実績(おととしは108件)があり、免疫療法では人工のペプチドのみを投与するペプチドワクチンの治験を食道がんとすい臓がんを対象に行ってきた。
これら蓄積されたノウハウの上に、より長い生存期間の延長が期待できる樹状細胞ワクチンの高度な製造技術と、多くのがん種で計1万件以上の症例実績(自由診療)を持つテラファーマ㈱との協働により、ことし3月からすい臓がんに対する樹状細胞ワクチンの治験準備を進め、このほど1例目の治験登録患者への製品投与を開始した。
研究チームは「和歌山県立医大で製品投与の安全性を確認し、その後、全国の多施設共同で185人の患者さんに協力いただき、有効性を検証する。2022年までに、樹状細胞ワクチンを標準療法が効かないすい臓に対する新たな治療製品として開発する指針の構築を目指す」と話している。

