筆者が小学生のころ、テレビでよく見ていたプロ野球の試合で印象に残るプレーやシーンはたくさんある。バース、掛布、岡田が3者連続でバックスクリーンへ放り込んだホームランはいまでもはっきり覚えている。阪神ファンの筆者ではあるが、幼心に最も胸に焼き付いている選手は、実は広島の衣笠祥雄さんである。とにかく休むことなく試合に出続けた鉄人として有名だが、個人的に衣笠さんといえばデッドボールというイメージが強い。思い浮かぶシーンはデッドボールを受けても投手に左手をそっと上げて「大丈夫やで」ということを静かな態度で示していた姿だ。一流中の一流、まさにレジェンドという言葉がふさわしい。
衣笠さんの姿を思い出したのには理由がある。プロサッカーの試合でとんでもない問題行動があったからだ。J2の徳島ヴォルティスの選手が試合中、ボールがサイドラインを割ったとき、自分の思うようにボールを手渡されなかったことにいら立ったのか、ボールボーイの中学生にボールを突き返し、体をぶつける暴力行為をはたらいた。プロ選手として、いや大人として恥ずかしいことは本人も分かっていることだろう。
プロスポーツという厳しい世界で、勝負への執念が強すぎてついやってしまったか。いやいや、どんな言い訳も通用するわけがなく、子どもたちの模範、憧れとなるべきプロ選手としてあまりにもふさわしくない行為といえる。スポーツの世界に限らない。社会人として、大人として、自分の考えがすべてだと思いあがっていないか。人の振り見て我が振り直せ、自分への戒めも込めて、衣笠さんのような一流の大人にならねば。 (片)

