「どれもこれもはっきりせん。ほんまにおるんなら、お日ぃさんの明るい昼間に堂々と出てきたらどやねん」。上方落語の爆笑王、故桂枝雀師匠が「皿屋敷」の枕で、正体が不鮮明な心霊写真やお化けと呼ばれる現象を指して、そのインチキ臭さを笑っていた。
逆に、明らかに目に見える存在を否定されるケースもある。だれが見ても立派な軍隊でありながら、「専守防衛の必要最小限の実力組織であって、軍隊(戦力)ではない」とされる自衛隊。先般、安倍首相は自衛隊の存在を明確にするなど9条を第一に憲法を改正し、2020年施行を目指す考えを表明した。
国民の多くがその任務に信頼を寄せながらも、憲法学者の7割以上が「違憲」という自衛隊を合憲化するのが、自分の世代の使命だと強調。平和憲法の核心である 9 条の1項(戦争放棄)と2項(戦力の不保持)はそのまま残し、自衛隊の根拠規定を追加する形で、国会での議論、発議を促すという。
憲法改正に反対するいわゆる護憲派は、これを「安倍政権の暴走だ」「9条を守れ」と繰り返す。「日本を戦争する国にするな!」という怒りだが、これは安倍首相ら改憲派もまったく同じ考えである。
自衛隊の合憲化はとりもなおさず、国土と国民を守る「抑止力の向上」を目指すため。自衛隊が違憲でなくなれば日米安保条約、平和安全法制の下の運用も迅速、円滑に進み、集団的自衛権も行使せずにすむという話であろう。
改憲派と護憲派のどちらの主張が現状の日本にかなうか。他国の侵略に抵抗するのかしないのか。国家の意思を示すのが憲法であり、どちらがより抑止力を発揮するかを考えなければならない。お化け(自衛隊)のこけおどしはとっくに見抜かれている。 (静)

