「誰かが優しい対応をしてくれた」「店員が素晴らしい接客をしてくれた」のようなとき、ネットを中心に使われる「神対応」という言葉。その行為を褒めたたえる意味で使用されている。
 先日、漫才コンビ「中川家」の「神対応」が話題になっていた。ライブイベントで彼らの出演中、前方の客席で赤ちゃんが泣き出し、父親が赤ちゃんを抱いて退席しようとしたところ、弟の礼二さんが「出て行かなくていい。そんな良い席なのに。赤ちゃんは泣くのが仕事」と言って制止。さらにステージに呼び、兄の剛さんが赤ちゃんに、動物の鳴きまねを見せて泣きやませたという。
 混雑する場所や乗り物でのベビーカーが問題にされ、そのたびに親が非難されたりする世知辛い世の中。子育て経験の有無に関わらず、誰しも激しく泣く子どもと困っている親の姿を見たり、当事者のいたたまれなさが伝わってきてつらい気持ちになった経験があるはず。赤ちゃんや子育て中の人に優しい目を向け、応援する社会になればと思うのはきれいごとだろうか。
 そんななかでの2人の対応。ネタ中に響き渡る泣き声に、周りも当人も気まずい空気だったところ、それを拾って笑いに変えたばかりか、恐らく誰もが嫌な思いをせずに済んでいる。チラッとでも戸惑った表情を出していたら、泣いている赤ちゃんが外に連れて行かれたあとでネタを続けても、観客も心から芸を楽しむことはできなかっただろう。「困ったハプニングを余裕で受け止めて笑いに変えた」「当事者だけでなく会場のほかの観客を幸せにしている」という点は、人気芸人としてだけでなく、大人や社会人として称賛して見習うべきところ。「神」までいかずとも「大人の対応」ができるよう努めたい。    (笑)