全国的な美術団体、独立美術協会の第84回独立展は、24日まで東京六本木の新国立美術館で開催。日高地方から、御坊市藤田町吉田の阪本聡さん(52)が2点の作品でTJ賞を受賞した。後援企業ターレンスジャパンの名を冠した、上位7番目の賞。昨年よりランクアップした。「今後も、最高の独立賞を目指して精進していきたい」と意欲的に話している。
 同協会は昭和元年に佐伯祐三らによって創立された歴史ある団体。美術展には毎年全国から約2000点が寄せられる。正会員は150人。審査は全会員の挙手によって行われる。 
 阪本さんは現在みはま養護学校教頭を務める傍ら、地元の白玄会に所属して制作に励んでいる。日高高校時代は美術部に所属し、同協会正会員の有本弘さん(日高町)に指導を受けた。九州産業大学芸術学部美術学科に進み、卒業時に学部長賞(卒業制作買い上げ賞)を受賞。平成21年に同展新人賞、翌22年に佳作賞を受け、準会員となった。昨年は奨励賞を受けており、今回は4度目の入賞。受賞作品は「WORK'16―6」「WORK'16―7」の2点で、いずれもアクリル樹脂を使った混合技法の抽象画。作品について「昔から物が朽ちていく、さびていくなど時間経過が及ぼす現象に関心があった。物が移動していなくても、そこには『動き』がある。絵という一つの空間の中で『動き』や『広がり』を表現することを試みており、見る人の印象を限定せず無限の可能性を持つ抽象画という方法に取り組んできた」と話している。受賞について「昨日の自分ときょうの自分が違うように、ここで100%完成ということはない。経験が蓄積していく中で今の自分をより高め、レベルアップさせて来年の美術展にも臨みたい。独立賞を受賞できるよう頑張っていく」と話している。
 東京での会期後には各地で巡回展を開き、大阪展は11月8日から13日まで大阪市天王寺区の大阪市立美術館で開かれる。
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入賞作品の一つ「WORK' 16―6」
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阪本さん