田辺市文里のガーデンホテルハナヨで11日、県教育委員会主催の教育講演会「高校生のための和歌山未来塾」が開かれた。同市龍神村出身の公益社団法人日本看護協会会長坂本すがさん(67)が講師を務め、看護職を目指す生徒ら約200人が参加。坂本さんは「胸に手を当て、少し頑張って喜びを得ることを考えてみてください。そこに『自分』があります」と語りかけ、自らの可能性を知り、心の赴くままに生きていこうとメッセージを贈った。
和歌山未来塾は、高校生が将来、国際社会の中で豊かに生きる力を養うために、さまざまな分野で活躍しているオピニオンリーダーが講師を務める5回シリーズの講演会。本年度第1回の今回は、龍神村に生まれ、南部高校龍神分校から県立高等看護学院を卒業後、助産師として県立医科大附属病院、関東逓信病院(現NTT東日本関東病院)等で勤務し、現在は日本看護協会会長、東京医療保健大学教授等を務めている坂本さんを講師に招いた。
坂本さんは「何故か、こうなった~あいまいな決め方~」というテーマで講演。子どものころは決してリーダータイプではなかった自分がさまざまな人との出会い、出来事を通して看護の仕事にやりがいを見いだし、現場のスペシャリストから組織の管理職となり、ついには看護師、助産師ら全国70万人の組織のトップに上り詰めた半生を振り返った。
38歳で産科病棟の婦長をしていたとき、初めて出会った末期がんの患者に真夜中、ナースコールで呼び出され「私は飲めないけど、あなたが一緒に飲んでくれれば飲める気がする」と紅茶を勧められた。最期まで自分のことを自分でしようとする姿に「生きること」を教わり、看護を徹底的に勉強したいと思い、看護研修学校へ入り直し、経営学の視点から看護を考えるため青山学院大学に入学したという。
最後に、ふるさとの高校生に「あなたは自分がどんな可能性を持っていると思いますか。そんなことは誰も分からないと思います。でも、胸に手をおいて考えてみてください。自分の好きなこと、心がときめくこと、楽しいばかりではないけど、少し頑張って喜びを得ることは何ですか。そこに『自分』があります」と述べ、「皆さんもどうか、自分の可能性に気づき、心の赴くままに生き、看護の道を目指してください」と言葉を贈った。

