部活動のキャプテンを取材した際、指導者からこんな話を聞いた。「最近は部員不足でなかなかチームをつくっていけない。勝ち負けよりも、まず誰にでもできることを確実にやれるように指導している」。野球部を訪れたのだが、実際、このチームは単独校では部員が足らず、他校と合同で公式戦や練習試合に臨んでいる。普段の練習は自分たちの学校で、少人数で。実戦形式の練習ができないハンディを抱えながら活動しており、強いチームになるのはかなり難しい。そんな中、「誰にでもできること」を実践中という。
 本塁打を打ったりファインプレーをしたり、速い球を投げたり。技術的な部分では、できる、できないが出てくる。「誰にでもできる」のは何か。このチームでは、あいさつ、元気いっぱい校歌をうたう、練習中に大きな声を出すなどを掲げ、「学校のみんなを引っ張っていけるように」と頑張っているという。合同チームでは公式戦でたびたび上位に進出しており、姿勢が変われば結果もいい方向に変えられる可能性があるということだ。
 剣道のトップ選手の講演を聴いた時、日本一を目指すに当たり、まず道場の雑巾がけを始めたとのエピソードがあった。その道を極めるには、当たり前のことを一生懸命できる心がなければならないということだろう。
 社会でも同じようなことがいえると思う。営業成績を上げる、パソコンを的確に操作できるようになるには時間がかかるが、ベテラン社員に負けずにやれることはいくらでもある。あいさつ、コミュニケーション、掃除等々。心の持ちようしだいで、いまからできる。壁にぶつかった人たちは一度、自分を省みてほしい。 (賀)