「本屋さんになりたい」という夢を実現させるため全国の書店を回って勉強している長崎県の女性に、日高川町のイハラ・ハートショップで出会った。筆者は他の用事で同店を訪れたのだが、彼女の熱意と行動力に感銘を受け、思わず取材してしまった
幼い頃から本が好きで、好きな場所は図書館と本屋さん。しかし全国的な書店の減少傾向は彼女の故郷でも著しく、いつも行っていた店が閉店することを知り「自分が本屋さんになろう」と決心。退職し、情報を集めて九州から新潟まで20日間の本屋巡りの旅を実行に移した。店主はそれぞれみんな印象深く、「お店を巡っているというより『人』を巡っている感じ」だという
イハラ・ハートショップは山奥の小さな本屋さんでありながら、有名な作家を招いてのイベントなど数多く実施。店長の井原万見子さんの著書「すごい本屋」(朝日新聞出版)などでも活動は全国的に知られる。長崎の女性は本の雑誌で同店のことを読んだが、実際に各書店で名前が挙がったといい、「有名ですよ」と声に力を込めた。一人の強い思いは、また新たな思いを呼んでいくんだなとあらためて思った
今や書店に足を運ばなくても本はネットで簡単に買える。書籍の電子化も進んでいる。もし本の価値が情報という点にあるのなら確かにデータ化して保存すればよく、製本や収蔵は時間とスペースの無駄になる。しかし、合理性を追求したところに必ずしも正解はない。人は何も、物事の効率を上げるために生きているわけではない
長崎の女性は、絵本を中心に並べ、子どもたちが集まって本にふれられる場をつくりたいという。その笑顔には明確な目標を掲げた人の持つパワーがあり、力強さと頼もしさを感じさせてくれた。(里)