今夏の第98回全国高校野球選手権和歌山大会での公式戦デビューへ、和歌山南陵硬式野球部が本格的に活動をスタート。監督には1978年春のセンバツに出場し、プロ野球でプレー、オリックスの2軍監督など指導者も務めた岡本哲司さん(55)=有田川町金屋出身=が就任した。
 2013年にプロ野球経験者が学生野球の指導者になるための規制が緩和されてから、県内で元プロが常勤の監督に就任するのは岡本監督が初めてという。プロ野球界はいうまでもなく日本野球の最高峰。その世界で活躍した人たちが将来の球界を背負う高校生を指導するのが難しいという環境にあったのはもったいないと常々思っていただけに、うれしいニュースであった。
 取材の日と後日、数時間だが練習の様子を見学させてもらった。岡本監督にインタビューした際、「体の動かし方から指導したい」と言っていたが、選手たちは捕球から送球体勢へと移る時の足の運びなど基礎をみっちりと繰り返し練習。一つ一つのメニューに目的を持って取り組む姿勢がうかがえた。チーム作りでは「選手たちに、こうあるべきという指導はしない」とも話し、個性を伸ばす選手育成を強調。第1期生が体力的に他校の選手たちに引けをとらなくなる来年夏、2年後の夏にどんなチームが出来上がっているのか、本当に楽しみだ。
 高校野球の指導者は学校の先生が多く、元プロ野球指導者という新しい人材が加わることは周囲にも刺激を与え、野球の活性化にもつながっていくはず。南陵を含めた日高地方勢が、夏は昭和57年(南部)、春は平成13年(同)以来遠ざかっている甲子園出場の吉報を届けてくれることを期待している。(賀)