今月9日に開校した日高川町和佐、和歌山南陵高校の硬式野球部は、初の公式戦となる今夏の第98回全国高校野球選手権和歌山大会へ向けて本格的な練習をスタートさせた。チームを率いるのは元プロ野球選手で2軍監督など指導者も務めた岡本哲司さん(55)で、県高校野球連盟に加盟申請したという12日には40人の部員を指導しながら「来年夏の甲子園、2年後のセンバツを目指したい」と力強く意気込みを語った。
 岡本監督は有田川町金屋出身。吉備高校(現有田中央)時代は1978年春のセンバツに投手、4番打者で出場した。社会人野球の神戸製鋼では本来のポジションの捕手に戻って活躍。84年のドラフトで横浜大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)から6位指名を受け、11年間(90年から日本ハムファイターズ・現北海道日本ハムファイターズ)プロ球界でプレーした。現役引退後は日ハムやオリックス・バファローズの2軍監督、横浜で編成担当を務めるなど2015年まで19年間、選手育成に携わり、米大リーグ・テキサスレンジャーズのダルビッシュ有投手が入団時には日ハムで2軍の指揮をとっていた。
 選手指導に当たっては「目的があって、目標がある。目的に従って、選手たちがなりたい自分になれるようにしてあげたい」と話し、個性を生かした育成をモットーにしていくという。高校卒業以来、和歌山の野球からは離れているが、「高校生がどういうレベルなのかは分かっています」。一流選手と接してきた経験をもとに、「愛情を持って」チーム作りに取り組む決意だ。
 今夏の和歌山大会へは「体力レベルが1年生と3年生では開いているが、この夏は負けてもいいという気持ちではない。勝つために出場する」と力強く抱負を語り、「来年夏、(2年後のセンバツがかかる)秋の大会で甲子園を目指したい」と意気込みを示した。
 部員は全員1年生の40人、日高地方は0人。いずれも野球経験者(硬式37人、軟式3人)となっている。出身は大阪府が中心、遠くは愛知県の選手がおり、県内からは有田地方、和歌山市などの5人程度が入部している。全員が岡本監督とともに寮生活を送り、練習は学校隣接の南山球場などで行う。スタッフは監督を含めて6人。ゴールデンウイークごろからは練習試合も計画していきたいとしている。