トルコ軍がロシアの爆撃機を撃墜してから1週間が過ぎた。トルコ側は撃墜前、10回の警告をしたといい、ロシア側は「そんなもん、1回もあれへんがな」とシリア領空での不意討ちを主張。その後も謝罪しないトルコに対し、ロシアは経済制裁を発動するなど対立が続いている。
内戦が続くシリアをめぐり、親米のトルコはアサド政権打倒を目指す反政府運動を支援。一方、ロシアは旧ソ連時代からアサド政権を支持し、イスラム過激派組織「イスラム国」の掃討を掲げて始めた空爆も、標的の9割以上はトルコが支援する反体制派の拠点だったという情報もある。反テロでは共闘しながら、シリア内戦で対立するねじれの隙間に、プーチン大統領の思惑が見え隠れする。
トルコといえば、エルトゥールル号事故と串本住民の救出活動、イラン・イラク戦争での邦人救出もあり、日本とは友好関係が続いているといわれる。5日からその絆を描いた映画も公開されるが、その矢先、トルコはロシア機を撃墜した。トルコが主張する領空侵犯が事実なら、自国の安全を守るため、主権国家として当然の行動であろう。映画も見たいが、現実の危機から一瞬も目がはなせない。
中東、北アフリカはオイルの利権が複雑に絡まり、それぞれの国の後ろには覇権を争う米国とロシアが控え、独裁打倒の革命の嵐が過ぎたいま、宗教の仮面をかぶったテロ集団が台頭。そのテロリストの組織にも争いがあり、日本もいつ標的になるかわからない。
混迷のなか、プーチン大統領の存在感が際立つ。対テロでフランスとがっちり手を組み、まるで西側首脳のような絵面で、いつのまにか国際社会の上座に戻った。わが国の盟友、米国のオバマ大統領は何を考えているのか。 (静)

