和高専産官学技術交流会(会長・上西一永大洋化学㈱代表取締役CEO)の総会が15日に花ご坊で開かれ、昨年11月から取り組んでいるハイブリッド型水耕栽培システム実験施設での成果が初めて報告された。この中で、LED照明と銀イオン水を組み合わせた栽培方法が、効率よく安全な野菜を栽培できる結果となったことが明らかにされた。これを受け、大洋化学が夏をめどに商品化に向けて取り組んでいく。
 地元の産官学が連携して自然光やLED照明を活用した野菜などの独自の栽培システムを構築し、商業ベースに乗せることができるかを探ろうと、昨年の同交流会総会で承認。11月には大洋化学の駐車場の一角に約180平方㍍の研究施設が完成。従来型とは違って生産性をアップさせるために栽培棚を2段にし、自然光とLED照明を活用したハイブリッド型で、フリルレタスや水菜の栽培を通しての研究をスタートさせていた。
 総会の中で大洋化学ダンシングリーブスプロジェクトチームの大川葵さんが、フリルレタス栽培での成果を発表。従来型の水耕栽培との比較では、LED照明を活用したハイブリッド型の方が約1・5倍の速さで成長することを確認したと報告。さらに養液管理では、マイクロバブル(超微細気泡)と銀イオン水を使った実験も実施。マイクロバブルでは生育の促進がみられなかったが、銀イオン水で調整した養液では、「フリルレタスの重量が従来の水耕栽培より2倍になり、チップバーン(カルシウム欠乏症)と呼ばれる生育障害もなく、水耕栽培ではよく発生する藻も抑制された。銀イオン水の濃度は非常に薄いので野菜には銀イオンは含まれず、職員による食味検査でも従来型よりおいしいとの評価だった」と抜群の効果を説明し、「簡単で効率よく、低予算で安心・安全な野菜作りが期待できる」と自信を見せた。
 今後は大洋化学が夏をめどに、銀イオン水生成器とハイブリッド型栽培棚を商品化し、新規就農者らに販売していく計画。家庭用の小さいキットも製造販売していくほか、自然光に頼らない閉鎖型施設での研究も行っていく。栽培した野菜も農業総合研究所(和歌山市)と契約して夏ごろから販売していくことにしている。商業ベースでの栽培システムが確立できれば、若者の働く場の確保や定年退職者の雇用促進、農業従事者の所得向上などが期待される。