小さい頃、祖母がカレーライスを作った際、ウスターソースも一緒に出されるので、かけるのならソースと思い込んでいた。ところが大学生の時、学食で他府県出身の友達がしょうゆをかけた。不思議なもので、一口いただくと、ソースよりおいしい。ソース派の人もいると思うが、筆者の場合、食べ比べ、つまり確認せずにそう思い込んでいたことを反省した記憶がある。
 先日、確認しなかったことから情けないミスをした。JR天王寺駅から特急に乗車し、3両目の最後方の座席に座った。久しぶりの電車で、とても新鮮。窓から眺めを見たりして旅を満喫した。間もなく目的地の御坊駅に到着。慣れない電車や駅ならあらかじめ乗降口の前に行ってドアが開くのを待つのだが、40年もの間に幾度となく利用している駅、乗った電車で、さらに座席が最後方なので、完全に到着してから座席を立ち、忘れ物がないか何度も確認してからすぐ後ろの3、4両目の連結部へ。なんとあるはずと思っていた乗降口がない。もう1両後ろの乗降口へ駆け足で向かったが間に合わず、往復1時間半延長の田辺までの旅になった。
 筆者は、取材したことを記事にするのが仕事。取材相手に話を聞いていると、話のニュアンスや表現の違い、早合点などで相手が伝えようとしていることと違う内容に、自分勝手に思い込んでしまうこともある。聞いたことをこんな解釈でいいのかと確認したり、話を続けているうちに自然に思い込みに気付くのだが、自分の解釈を疑問に思ったり、話の流れが不自然だと思わなければ、間違って思い込んだままのこともある。田辺までの往復電車は何事も慎重な行動、確認の必要さを再認識、思い込みに反省しきりの旅となった。     (昌)