日本への外国人観光客が年間1300万人を超える人気となっているなか、昨年1年間の和歌山県への外国人宿泊客数が初めて30万人を突破した。県などによる年間数十回に上る海外プロモーション等の効果のうえに、円安や格安航空の座席数増加も追い風。香港、台湾、中国からの客が過去最高を記録し、欧米や豪州からの客には高野山や熊野古道が人気を集めたという。
 美しい山や海の自然が豊かで、郷土料理も人気の和歌山県には世界遺産の熊野古道と高野山があり、白浜町や龍神村の温泉リゾートも外国人には大きな魅力。近年は格安航空のLCCによる航空座席数の増加やビザの緩和、円安などが追い風となって全国的に外国人観光客が増加しており、和歌山県も海外への観光プロモーション、海外からのメディア取材やエージェントの下見サポートを行い、各市町村と観光協会等の団体も公衆無線LAN(Wi―Fi)、県の補助を活用したおもてなしトイレの整備等を進めてきた。
 県の発表によると、昨年1年間の外国人宿泊客数(速報)は30万3574人で、過去最高だった前年の21万1754人から9万1820人の増。前年比は143・4%、国内全体の伸び率(129・4%)を上回る大幅増となった。
 宿泊客数の国・地域別シェアは、香港が25・6%で最も多く、次いで台湾(22・8%)、中国(12・3%)、フランス(4・5%)、米国(3・9%)――などの順。それぞれの前年比をみると、中国は3・8倍と急増し、1位の香港と2位の台湾も過去最多。アジア以外のフランス、スペイン、アメリカ、カナダ、オーストラリアもすべて過去最多となった。
 宿泊先では、中国などアジアからの客は白浜町や和歌山市、みなべ町、那智勝浦町が多く、フランスなど欧米豪からの客は7割近い68・8%(4万7861人)が高野町に宿泊。また、高野山とともに世界遺産登録10周年を迎えた熊野古道の人気から、田辺市に宿泊する観光客が前年比2・2倍(8414人)と大幅に増えた。