先日、テレビでスタジオジブリの長編アニメ「かぐや姫の物語」を観た。ジブリ作品は好きなので欠かさず観ているが、この作品に関してはストーリーが「竹取物語」と同じで知っているし、何気もない淡いタッチの絵にあまり興味を引かなかったので、おととし11月に公開されて以来、観ていなかった。テレビ放送はこの作品が先月23日に第87回アカデミー賞にノミネートされたのを受けて行われたようで、筆者にとってはちょうどいい観る機会となった。
 監督は巨匠宮崎駿さんの作品の演出などでも活躍している高畑勲さん。自身が監督を務めた代表作には「火垂(ほた)るの墓」や「平成狸合戦ぽんぽこ」などがある。いずれも独特の世界観で、現代社会への強烈なメッセージも訴えかけてくる素晴らしい作品ばかりで、好きである。ただ、個人的には宮崎ファンであり、今回のかぐや姫についても実は高畑さんが監督を務めたということがあって、非常に失礼だが、若干敬遠していた。
 ところが観た感想は、率直にいってとてもよかった。何がよかったのかと言うとちょっと説明しづらい。やっぱりストーリーは竹取物語とほぼ同じだし、目新しさは感じなかった。ただ、登場人物の喜怒哀楽に富んだ表情や心情を繊細に描写しているため、非常に感情移入がしやすい。かぐや姫の純粋さやそれを大切に育て守ろうとする父と母のやさしさ、その半面見え隠れする父のエゴなど、観ている筆者も一緒になって笑ったり、感動したり。
 かぐや姫や育ての両親の本当の幸せは何だったのか、映画の中で答えはないが、現代社会にも通じる親子へのメッセージがあるように感じた。 (吉)