南部高校軟式野球部が、25日から兵庫県で開幕する全国大会に出場する。平成7年以来19年ぶり2度目。前回は作新学園(栃木県)と対戦し初戦敗退となったが、ことしこそは優勝目指して頑張ってもらいたい。
 南部高校は野球の伝統校だが、特産の南高梅の名前の由来にもなっている。昭和25年から30年代にかけて、同校の竹中勝太郎教諭が中心となって生徒たちとともに梅の優良品種の選抜に取り組み、晩稲の高田貞楠氏が所有する高田梅を昭和40年に農林種苗登録した。それがブランドとなっているいまの南高梅。当時、竹中氏は母校の名をとって『南高』と名付け、「将来この梅とともに南高の名が全国に広がり、栽培農家を幸せにしてくれることを願う」と言ったといわれている。
 以後、みなべ町では先人が開発した南高梅を生かして地域づくりを進めている。同町の発展は梅にあったと言っても過言ではないだろう。近年は梅の機能性の疲労回復効果に着目し、スポーツと関連付けた事業「梅=スポーツ」に取り組んで消費拡大に努めている。去る11日、同校野球部が小谷芳正町長に全国出場を報告した席上でも梅干しを贈り、「梅干しを食べて頑張ってもらいたい」と激励した。
 だが、その梅の消費が近年低迷。若者世代が梅干しを漬けることが少なくなったことなどが要因だ。農家の収益も減少しているのは事実で、産地にとってはピンチである。
 南高梅の由来でもある南部高校の軟式野球部が全国の舞台で活躍することは、梅のPRにもつながる。練習の成果を存分に発揮するとともに、梅がスポーツに効果的だということを証明する機会でもある。 (雄)