印南町の印南原地内で、鳥獣被害対策としてハンター養成などを目的とした県営の射撃場計画があることがわかった。13日に再開した議会一般質問で、井上孝夫議員の質問に対し、執行部が明らかにした。施設の具体的な内容は決まっていないが、地元印南原は同意しており、町も積極的に推進していく考えを示した。
 以前から県は射撃場の建設候補地を探しており、高速道路が整備され国道に近いなど交通の利便性、北向きの斜面があるなどの土地的な条件がそろっているとして、印南原地区が名乗りを上げ、昨年県による地元説明会も開かれた。地元では説明を受け、「ハンターの資質向上と新規ハンターの増加が見込めるなどで、鳥獣害対策になる」としてことしの区総会で了承した。また現在開会中の県議会一般質問で仁坂吉伸知事が、建設の条件に挙げていた「地元市町村への応分負担」などを緩和し、「地元の意向があれば前向きに進めていきたい」と答弁していた。
 質問では井上議員が町の見解を聞き、日裏勝己町長は「ハンターの技術向上、安全対策に貢献できる。地元から要望書が出ており、県へも伝えている」と答弁し、積極的に推進していくことを約束。さらに井上議員は射撃場には国際大会が開かれるAAA、国体が開かれるAAなどのランクがあることを説明し、「AAAは国内に宮城と熊本の2カ所しかなく、AAも少ない。これらのランクにすることで、近畿や周辺の国体などの大会で使われることになり、地域の活性化効果も期待される」とし、日裏町長も「AAやAAAができれば素晴らしい」と理解を示した。このほか井上議員はヘリポートの併設なども求めた。
 県内では田辺市や那智勝浦町に民間の射撃場はあるが、県営(ライフルを除く)ではない。湯浅町で計画が出ていたが、用地確保や地元合意が得られず平成22年に断念している。今回の印南町での計画について県は「射撃場の必要性は感じているが、まだまだこれから検討段階」と話し、いまのところ名乗りが上がっているのは印南町だけという。