暦の上では春といいつつ、1年で最も寒い季節。人が集まる場所ではインフル予防にマスク姿の人が目立ち、試験を控えた受験生とその家族はとくに気になる毎日だが、三寒四温で少しずつ春に向かうこれから、消費税アップを控えた国内景気も暖かいのか寒いのか。
 東京株式市場は今月に入り、4日連続で日経平均株価が下落した。4日の終値は前日比610円66銭安の1万4008円47銭。ニューヨークダウ平均の下落を受け、中国経済の先行き不安とFRBの量的緩和縮小決定、さらに新興国の通貨安などから投資家心理が弱気に傾き、日本市場の売りが加速しているという。
 アベノミクスの波に乗ろうと、株を始めた友人はスマホで刻々と変動する株価を見ながら、このところの急落にがっくり。4日夜、仕事終わりにドキドキしながら開いた画面は、数字の色が下落を示す緑一色で、つい1週間前の含み益は一気にマイナスに転じた。
 読売新聞は5日の朝刊で株価急落の記事より大きく、トヨタの2014年3月期連結決算の営業利益が最高の2兆4000億円となり、パナソニックとシャープも業績が回復したとの記事を掲載した。一方、朝日新聞をみると、同じ日の1面トップは株価の急落。世界同時株安のなか、日本の株安は突出しており、アベノミクスの円安・株高にブレーキがかかり、景気を冷やす恐れも出てきたという。
 靖国参拝、尖閣・竹島、いわゆる従軍慰安婦など歴史認識と思想に絡む外交問題も、新聞はそれぞれのスタンスで主張をぶつけ合う。これも安倍政権発足後の顕著な変化。経済も含め、賛否渦巻く世の流れは、寒暖を繰り返すいまの気候のように、春の暖かさの前兆であればよいのだが。    (静)