本日付1面にも掲載しているが、大阪府堺市にある植物工場研究センターでの取り組みは、将来の日本の農業を大きく変える可能性を持っていると感じた。記事で書ききれなかったことを少し紹介すると、植物工場で栽培された野菜は無農薬、低細菌のため、近年の食の安全性の観点からも需要が期待できる。ちなみに、センターでは葉野菜の栽培研究を行っているが、理論上はどんな野菜でも栽培できるらしい。さらに、栽培工程が機械化されて省力化が図られているため、高齢者や障害者らの雇用など、福祉面での活用の研究も行われており、注目されている。
 とはいうものの、やはり実用化にはコスト削減が課題で、電気代の圧縮が一番手っ取り早いそうだ。センターの説明によると、メーンで使用している蛍光灯では、熱を発するため、熱障害を起こさないよう蛍光灯と植物との距離を一定離さなければならず、その分、栽培棚の間隔が広くなる。これが熱がほとんどないLEDだと植物に近付けても大丈夫で、栽培棚の間隔も狭くできる。つまり、LEDの省エネでコスト削減が図れ、同じ植物工場の面積でも多くの栽培が可能ということで、この辺が今後商業ベースに乗るかどうかのポイントとなりそう。
 ただ、植物工場の登場は、確かに昔から露地で栽培してきた農家にとっては脅威となるかもしれない。しかし、ものは考えようで、農地を活用して植物工場を建設する新しい道が開けるかもしれない。さらに、植物工場に関連するLED製造メーカーはじめ各種設備関連会社にとっても販路拡大、新たなビジネスチャンスが待っているかもしれない。興味のある人はぜひ一度勉強してみてはいかがだろうか。  (吉)