学校の防災教育、防災管理の充実を図ろうと日高川町農改センターで3日、学校防災教育研修会が開かれた。専門家を学校に派遣し防災に対する取り組みについて指導、助言する「学校防災アドバイザー活用事業」の一環。事業のモデルとなった3つの小学校と地域の取り組みを通じ、アドバイザーの県職員、西畑徹さんから「教職員が教え込むのではなく、子どもたち自身に考えさせよう」「自分の命は自分で守るという意識を徹底させよう」などのアドバイスが送られた。
 防災アドバイザー活用事業は、国の実践的防災教育総合支援事業(県内6市町で実施)の取り組みの一つで、日高川町では本年度、中津小学校、川辺西小学校、小熊区をモデルに実施した。いずれも4回の実践委員会で防災への取り組みについて西畑さんから指導、助言など受け、今後の課題など検討してきた。
 この日の研修会は、これまでの取り組みを発表、アドバイザーから総括的な提言を受ける場で、学校や地域、町・警察・消防など防災機関の関係者ら約50人が参加。中津、川辺西の両小学校は減災訓練や火災避難訓練、救急救命講習など取り組みを発表し、課題として一人で避難できる児童の育成、地域との連携、授業時間外の避難訓練の仕方など挙げ、川辺西小の校区の小熊区も子どもを守る観点から昼間の人口の少なさを課題とした。これらの取り組み、課題に対し西畑さんが提言。学校の訓練について「地震の揺れが収まったなどの不自然なアナウンスは不要。子どもたち自身で考えさせよう」「地震発生の情報から到達するまでの30秒間をどう活用するか実際にやらせてみよう」「教師の指示なしでも自分たちの判断で行動できるように事前・事後の学習が大切」と強調。洪水警報などが発令されると学校が休校や自宅待機となるケースが多いことから、「校区一斉の家族単位での避難訓練も必要。自分たちで作る避難訓練が大事」と提案した。連携面については「地域、学校、町で強い信頼関係を築いておこう」と訴えた。最後に「子どもたち自身に自分の命は自分で守るという意識を徹底させ、行動する力をつけさせよう。学校、地域、町、警察、消防みんなが協力して子どもたちを守ろう」と呼びかけた。
 今後も中津、川辺西の両小学校と小熊区はモデルとして事業を展開。意見や提言を参考にし防災教育に取り組んでいく。町ではモデルを増やしていく考えで、さらにこれらの取り組みを町の防災事業、防災対策にも反映させていく。