県立医科大学(板倉徹理事長・学長)に新しく寄付講座の「がんペプチドワクチン治療学講座」が開講し、17日から新規臨床試験参加希望者の申し込み受け付けが始まった。ペプチドワクチンは手術や化学療法(抗がん剤)の3大治療に続く第4の標準治療として期待されており、国内初のがん患者団体の寄付講座。これまで企業主導の臨床試験に参加できなかったA2という白血球のタイプの患者も対象とする。
ペプチドワクチン療法は、がんに対する特異的な免疫力を高めてがん細胞をやっつける治療法。がん細胞の表面にはHLA(ヒト白血球型抗原)というカゴに入った特有のペプチド(アミノ酸化合物)が目印として発現しており、このペプチドを人工的に合成して体内に投与することで、ペプチドを目印にがんを攻撃するCTL(キラーT細胞)が大量に増殖し、活性化したCTLが他の正常な細胞を傷つけず、がん細胞のみを攻撃する。
国内のがん治療は手術、化学療法、放射線が標準的な3大治療といわれ、ペプチドワクチンは、この標準治療では効果が上がらない患者を対象に、大学病院等の臨床研究に参加するという形で治療を受けることができる。しかし、現実にはがんの種類や進行度、白血球の型(HLA)などの厳しい条件があり、多くの臨床試験は日本人の約6割を占めるHLAがA24というタイプの患者に限定。残りの4割の人は臨床試験を受けることができないが、県立医科大の治療学講座は国内で初めて本格的に残り40%のうち20~25%のA2というタイプの人も対象とし、これまで除外されていた81歳以上も含め、難治がんのすい臓がんと食道がん(各40人)を対象に治験をスタートさせる。
治療学講座は消化器の第二外科学講座(山上裕機教授)に準備室が設置され、患者団体「市民のためのがんペプチドワクチンの会」(東京都国立市)が研究資金として一般から寄付を呼びかけ。このほど開設資金500万円が集まり、今月1日付でペプチドワクチン治療専門の治療学講座が設置された。17日からは臨床研究参加希望者の申し込み受け付けが始まり、午前11時の開始から医局の電話は鳴りっぱなし状態。2時間ほどで全国から十数件の問い合わせがあったという。
山上教授(56)は「治療学講座はこの和歌山県立医大を拠点として、全国7つのブロックに共同研究の病院を置き、遠方の患者さんはそれぞれ最寄りの病院で治療を受けることができるようになる。臨床試験は将来の製薬が目標であり、巨額の費用を投じる企業は市場の原理からも、2割(HLAがA2)の人を対象とはしにくい面もあったが、今回、この治療学講座で臨床試験に参加できなかった4割のうち半分、2割の人を対象にできることは、患者さんはもちろん、私たち医師にとっても非常に意義が大きい」と話している。
臨床試験に関する問い合わせは県立医科大がんペプチドワクチン治療学講座医局℡073―441―0613(午前11時から午後3時まで)。

