異常なまでの猛暑の夏も過ぎ去ろうとするなか、名古屋の男性から本紙あてに奇妙なメールが届いた。美浜町の西川で、1人でチヌ(クロダイ)を釣りながら撮影したビデオの中に、「竿、ばらすぞ...」という自分ではない男の声。霊感の強い人に見せると、声だけでなく、「モロに(霊が)映ってる」といわれたという。
 ビデオを撮影したのは、名古屋市の会社員の男性(39)。釣りは趣味で、個人のオーダーメード竿の仕上がりを実際に使って確認するテスターもしており、ビデオはことし5月のある日の夕方、美浜町田井地内の西川へ竿のテストをするために訪れた際、左手に竿、右手に小型のビデオを持って撮影した。
 その日はチヌもたくさん釣れ、家に帰って再生してみると、47㌢のチヌがかかって引き寄せているところで、「竿、ばらすぞ...」という男の声。釣っていた場所は堤防の道路から下りた土手、周りには誰もいなかった。気持ち悪くなった男性は友人らにビデオを見てもらうと、全員が同じように声が聞こえ、うち霊感の強い複数の人は声だけでなく、川底や対岸の土手にうじゃうじゃと、霊らしきものが見えたという。
 男性はホームページで本紙を知り、「地元の新聞社なら、あの周辺の土地の歴史やいわくが分かるかも」と考え、メールを送ってきたあと、ビデオを持って来社。動画を見せてもらった本紙の記者ら4人(全員霊感なし)は、男性と同じく声は聞こえるものの霊の姿は見えず、社外の「ちょいちょい(お化けが)見える」という女性にも見てもらったが、結果は「声は聞こえ、なんとなく川面が赤く濁って見えるけど、お化けのようなものはまったく見えなかった」。
 美浜町や地元の人によると、現場周辺には弥生土器や縄文土器が出土した遺跡が点在し、水難事故や交通事故も起きているが、とくに不可解な出来事が多発したり、お化けが出たという話もないごく普通の場所。男性はビデオを見た翌日も現場を訪れ、塩と酒をまいて自分なりに〝お払い〟をし、これまでとくに悪い出来事も起こっていないが、「昼間に出る霊はよくないと聞きました。ビデオの声の内容も攻撃的ですし、もうあの場所には近寄らないようにしています」と話している。
動画:http://www.hidakashimpo.co.jp/news/shinrei.html