数年前、サッカー日本代表FWで、みなべ町にゆかりのある岡崎慎司選手を取材させてもらったことがある。プライベートでみなべ町を訪れていたにもかかわらず、突然の取材依頼に嫌な顔一つすることなく、初対面の筆者の質問に丁寧に答えてくれたことはいまでもはっきりと覚えている。そのときすでに日本代表としてゴールを量産し最も注目されていたにもかかわらず、おごることなく、一言でいうと素直という言葉がよく似合う選手だった。種目は違うが、みなべ町で講演した元女子バレーボール日本代表監督の柳本晶一さんが「トップアスリートの条件は素直さ」と話されていたと聞いて、岡崎選手が思い浮かび、納得させられた。技術や体力だけではない、競技に対するひたむきさが個のレベルアップに欠かせない。
 本紙が協賛する第17回日高新報杯少年サッカー大会が、ことしも3月2、3日に開催される。準備や取材を通して大会にかかわって15年になるが、カメラのレンズごしに選手たちの真剣なプレーを追っていると、自然と力が入る。勝ち負けも大事だが、サッカーというスポーツを通して他のチームの選手と交流を深め、心が成長する大会にしてもらいたい。セレッソ大阪で活躍する酒本憲幸選手に続く、地元選手のJリーガーが将来、誕生してほしいとの期待も込めている。
 そしてもう一つ、選手のみんなにはサッカーができることに感謝の気持ちを忘れないでほしい。日々、指導してくれている監督やコーチ、応援してくれる保護者がいるからサッカーができることを少しでも理解する場になればと願っている。人に対して感謝の気持ちを持つ、これも素直さの一つだ。(片)