20日告示、 27日投開票の市長選は、立候補を予定している現職柏木征夫氏(71)=5期=と、新人山本勝也氏(51)=島・飲食店経営=が前哨戦を展開しているが、投票率の低迷が心配されている。大きな争点がなく、有権者の関心が低調ムードとなっているためで、関係者や有権者の中には「50%を割り込むのでは」との見方も出ている。
 市長選の投票率をみると、 平成8年5月、 現職柏木氏と共産党新人の林つとむ氏の一騎打ちのときが69・44%。 しかし、 いまから16年前の話で、 全国的にも年々無関心層が増加して投票率が下がる傾向にあるため、 今回の投票率の参考にするのは難しそう。 このため、 他の選挙を見てみると、 平成21年8月の衆院選では自民党現職の二階俊博氏、 民主党新人の玉置公良氏らが出馬して、 市部投票率は75・4%で比較的高かった。 これは自民党から民主党への政権交代が起きたときで、 民主への期待で無関心層が掘り起こされ、 逆に自民も危機感を募らせ運動が活発化したためとみられる。 このほか、 逆に民主への不満が募ってきた23年4月の県議選市部では、 自民現の中村裕一氏、 民主新の斎藤麻希氏との一騎打ちとなったが、 投票率は54・8%と低迷。 これは現職優勢で安泰ムードが流れたことも要因の一つとみられている。
 今回の市長選では二階氏や中村氏とパイプを持つ柏木氏が同じような支援態勢で戦うことになるが、 過去の選挙と比較すると政権交代など全国的な選挙ムードに伴う有権者の関心の高まりがあるわけではない上に、 下馬評ではすでに 「現職強し」 の声も聞かれている。 そんな中、 柏木陣営では 「『勝つに決まってるから投票に行かなくてもいいだろう』 と棄権する人が増えると一番辛い。 少しでも多くの人に投票所に足を運んでもらうことが課題」 と安泰ムードを警戒。 一方、 山本陣営でも投票率アップは大きな課題で 「選挙にいかない無関心層や若者層を掘り起こしていかに投票してもらうかが重要。 きちんとした選挙組織もないが、 勝手連的に支援の輪が広がっていくのを期待したい」 としている。
 ことし3月1日現在の有権者数は2万951票。 仮に投票率が50%で低迷すると、 投票総数は約1万票。 これを両陣営で奪い合う格好となる。