独立行政法人国立病院機構和歌山病院(楠山良雄院長)の第2回市民公開講座が21日、美浜町地域福祉センターで開かれ、約100人の住民が参加した。加齢とともに女性に多くみられる下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)をテーマに、医師と看護師が最新の治療法、日常生活の注意点などを説明。紀中で唯一の血管内レーザー治療の実施機関として、症状の段階等に合わせた治療法の幅が広がったことをPRした。
 下肢静脈瘤とは、血液が足先に逆流しないよう足についている弁が壊れ、うっ血が生じて足の血管にコブができる病気。足がだるい、重い、寝ている間に足がつるなどといった症状があり、長時間の立ち仕事の人や妊娠・出産後の女性、高齢者に多く、放置すると皮膚炎や潰瘍ができることもある。
 この病気について、心臓血管外科の畑田充俊医長が症状や治療法を説明のうえ、静脈内にカテーテルを挿入してレーザーを照射、血液の逆流を止める血管内レーザー治療法を紹介。レーザー治療は体に傷が残らず、局所麻酔で済み、治療効果も高いのが利点で、昨年1月からは保険適用となった。和歌山病院は同じく昨年1月、血管内レーザー焼灼術実施・管理委員会から実施施設と指導・実施医1人の認定を受け、県内では和歌山市内の個人病院、田辺市の南和歌山病院に続いて3カ所目、紀中では唯一の認定実施機関となっている。
 畑田医長は「下肢静脈瘤は『年をとればなるもの』ではなく、治療をしなければ足の色が変わり、潰瘍(でこぼこ)になってしまう病気ですので、早めの受診が必要です。軽度であれば弾性ストッキングによる圧迫療法、外科的にはレーザー治療のほかにも硬化療法、高位結紮(けっさつ)術、傷んだ血管を取ってしまう抜去(ストリッピング)術などがあり、症状の段階や患者さんの生活スタイルに合わせていろんな治療法を選択できます。気軽にご相談ください」と呼びかけた。