美浜町議会で、執行部が開会前に議会に提出した新年度事業の説明資料に不適切な表現があったとして、森下町長が本会議と全員協議会で陳謝した。この1年の議会を見ていて、町長自身の給料減額案の取り下げ、当初予算の修正(公約のヤギ放牧費約35万円を削除)など、首をかしげることが多い。
 今回の不適切表現問題もしかり。たしかに議員が指摘するように、町の懇談会委員公募で思想や観念を人選の基準にするなどあってはならない。が、資料を見る限り、応募者一人ひとりの思想をチェックして異物を排除するというより、まちづくりを考える懇談会全体として、極端な思想の偏りには配慮が必要と受け取る方が自然ではないか。なんの悪意も策謀もなく、言葉足らずが招いた誤解であり、誤解を与える表現をしたことを詫びて訂正すれば、住民も了解すると思うのは筆者だけか。
 資料は町民にも記者にも配られておらず、いわば執行部と議会だけの内部資料。提出された全協の場で注意し、訂正させれば済む話。あとで気づいたにせよ、本会議で憲法を振りかざして責任を追及するのは針小棒大としか映らない。現時点では定員より数人多い応募があり、まだ人選していないにもかかわらず、22日の全協では特定の人が被害を受けたかのような差別事象として、同和問題まで引き合いに出された。反応が過剰といわざるを得ない。
 森下町長と議会の関係を見ていると、橋下大阪市長の「議会とは敵意と嫉妬が渦巻き、人間の最もすさまじい闘争本能が凝縮した場」という言葉を思い出す。ベテラン議員がいうように、町長が謝るところは謝り、執行部も議会も笑われないようシャキッとしてもらいたい。   (静)