「子どもの医療費無料化枠を中学校卒業まで引き上げることを検討するといったのに、全然やらない。どうなっているんだ」「検討はしています。まだ結果が出ていませんので、今しばらくお待ちください」。政治の世界は独特で、こんなやり取りがまかり通る。「検討」とは都合のいい言葉。やる、やらないを真剣に話し合っているふりをするだけでもごまかせる。まだ駆け出しのころ、「検討する」との答弁を鵜呑みにし、あたかもその事業が実現間近のような記事を出したら上司に「『検討する』は、やらないに近い。もっとよく取材をしろ」と叱られた経験もある。
 権力者の「検討」は信用ならないというのは今や常識。だが、それが逆だと許されない。例えば部下がしばらく経って「まだ検討中です」などと答えようものなら瞬時に仕事ができないやつと評価されるだろう。だから権力者以外の人は「考えておく」のような言葉に騙されないように心がける必要がある。
 日本語は難しく、どちらの意味にもとれる便利な言葉が多い。「適当」なんかもそうだ。「ほどよくあてはまること」とある半面、「いい加減」との意味も。「適当にやっておいて」といわれて後者のようにすればこっ酷く叱られるし、言葉の意味はしっかりと理解しなければならない。
 問題になっている国家公務員宿舎「朝霞住宅」もしかり。批判されるやいなや「建設凍結」との言葉が出てきた。中止、廃止ではない「凍結」。ほとぼりが冷めればまたこっそり着工。その意図が見え隠れする。「事業仕分け」で「凍結」されたものが復活しているから間違いない。
 言葉遊びをしている時ではないと、みんなが思う。やる、やらない、明確な指針で舵を切ってほしい。   (賀)