「これからの生活を考えれば不安は募るばかり」。台風12号による日高川の氾濫で、所有するミカン畑の大半を壊滅させられた川辺地区の生産者の切実な声だ。中には栽培していた1㌶余りのうち7割が被害に遭った人もいた。単純にこれまであった収入から7割減となる。ミカンは苗木を植えてから、それなりの収入を得られるだけの出荷ができるようになるまで10年近くかかるが、苗木を植えられる状態に戻すまでこれからどれだけの時間がかかかるのか、見通しも立っていない。収入7割減が10年以上続くかもしれない人、ほかにもパイプハウスや鉄骨のハウスをつぶされた人たちが実際に何十人もいる、この現実を多くの人に知ってもらいたい。
 農業が自然災害に左右されるのは、ある程度は仕方がない。しかし、今回はある程度の範囲をはるかに超えている。個人の力だけで復旧しろというのはあまりにも酷だ。国や県の支援があってしかるべきだろう。どこまでバックアップできるのかは今後の検討課題だが、地域の基幹産業を守るために、行政もなんとか力になりたいという姿勢、意気込みを見せなければ、農家を奮い立たせることはできない。
 個人の力での復旧が大変な理由の一つは、生産者の高齢化がある。話を聞かせてもらった農家から「もう少し若かったらがむしゃらにいけるが...」との本音も聞こえた。後継者不足が深刻化する中、このまま支援なく農業が衰退していくようなら、ますます担い手は少なくなるだろう。比例してまちも衰退する。今回の水害で被害にあった農家が「もう一度やり直す」と生産意欲を取り戻すため、対応策を早急にまとめることが必要だ。
       (片)