台風12号の被災で問題視されている日高川町の県営椿山ダムの放流のあり方。想定外の雨量でダムへの流入量の予測が難しいということだが、被災者から聞こえてくるのは「昭和28年の大水害を受けて被害をなくすため建設されたダムのはず。今回の水量は28年のときより少ないのに、なぜ甚大な被害が出るのか。何のためのダムか」という悲鳴と怒り。さらに「毎秒4000㌧近くを一気に放流したことで鉄砲水のようになり、ダムに近い下流域の被害が特に大きかったのでは」との憶測も飛び交っている。憶測とはいうが、道路、家屋の被害状況をみればダム近くの下流付近の被害が甚大で一理あるようにも思う。
 ダム放流のデータをみせてもらったが、放流量がピークになる数時間前にはダムへの流入量に対して放流量が大きく下回っている時間帯がある。つまりダムにはどんどん水がたまっている状況。ある有識者によると、流入量に対して放流量を同等にすることを「平準化」というらしく、「仮に平準化がきちんとできていればダムの貯水量があそこまで増えず、一気に放流することもなかったのではないか」との指摘もある。市議会からは「ダムには発電の役割もあるが、発電のために貯水量を一定残そうとしたことで被害につながった。今回の被災は福島原発と同じ人災だ」と怒りの声も上がった。
 一方、現時点でダムを管理する県は「計画以上の流入量が被害の原因。可能な限りの洪水調整能力を発揮した」との言い分。ただ、一度専門家にダムの流入量、放流量に伴う流域への被害に関する洪水シミュレーションをしてもらうなど、二度と同じような被害が起きないよう、ダム管理を徹底的に検証する必要はある。 (吉)