7031111.jpg 夏の高校野球和歌山大会開幕まであと8日。最後の夏に熱い思いを持つ、また話題性のある地元選手をピックアップ。
 「お父さんと同じあの場所に立つぞ」。白球を追いかけ始めた小学生のころ、テレビの前で決意した。
 父・吉史さん(45)は昭和56年センバツ出場の御坊商工(現紀央館)ナイン。捕手として活躍し、チームをベスト8に導いた。勝負強い打撃も光り、150㌔右腕、槙原寛己投手(元巨人)から適時打。「かっこいい」。ビデオで何度も観たが、若かりし日の父の姿はまぶしく、甲子園へ強く憧れるようになった。
 強い体と抜群の野球センスは親譲りで、小中学校時代からクリーンアップ。日高中津でも昨夏から不動の4番だ。中学校までは毎晩、親子二人三脚の練習で実力をつけ、県内屈指のスラッガーに成長していった。
 昨夏の紀三井寺では決勝で敗退。好機に打てず唇をかんだ。センバツがかかった秋季県予選はアーチをかけるも、準々決勝で涙。甲子園にはもう一歩のところで届いていない。
 春先は不振に見舞われたが、父のアドバイスで脱出。以降は打率4割3分、毎週練習試合でサク越え弾を放つなど調子を取り戻し、最高の形で夏本番を迎えられそう。この夏がラストチャンス。「あの打席に立って、同じ光景を見てみたい。お父さんに少しでも近づきたい」と親子2代にわたる夢舞台へ燃えている。