「わたしのお化粧人生史」。これが、宇野千代さんを人生の師匠と仰ぐようになったきっかけだった。

 大学を卒業しそのまま東京で就職してはみたものの、合わずに3カ月もたたないうちに一旦、帰郷。それから東京に戻るかもう和歌山に帰るか迷った末に東京を選んだのは、学生時代からの恋人がいたからだった。でも結局、破局。落ち込んだ。そんなとき、母が和歌山から、野菜やみかんなどとともに段ボール箱に入れて送ってくれたのが、この本だった。「心持ちを自然に持って、涙を拭いて、お化粧して、一番好きなきものを着て、街に出てごらんなさい」。読んでまた涙があふれたけれど、散々泣いたら気持ちがスッキリとした。

 それから、片っ端から千代さんの本を読んだ。そしてエッセイや小説から千代さん本人の生き方を知り、感銘を受けた。それまで、「こうあるべき」という常識にとらわれ世間の目に沿わぬことは悪徳だと思い込んでいた自身のバイアスが解けて、世界が違って見えた。もっと肩の力を抜いて自由に自分軸でやればいいのだと感じて、気持ちが軽くなった。以来、「行動することが生きること」との千代さんの信条に倣い、80代で書かれた「生きて行く私」をバイブルにしている。

 思い立ったらそのものに向かって夢中で駆け出す千代さんは、ある時期「駆け出しお千代」と呼ばれたそう。小説家、着物デザイナー、雑誌「スタイル」編集長、恋多き女、など多くの顔を持って濃い人生を謳歌されたのは、そのあふれるバイタリティゆえ。

 そんな千代さんの物語が、いよいよNHKの朝の連ドラで放送され始めた。普段、連ドラは見ていないけど、今回は見ます。(亜)