2月のテーマは「鬼」。鬼の出てくる古い物語で特に有名なのが「大江山の鬼」伝説。酒呑童子と呼ばれる大きな鬼を、源頼光と配下の「四天王」と呼ばれる武士らが退治する物語です。

 大江山(楠山正雄著、青空PОD文庫)

 京の都で若い女をさらう酒呑童子の伝説が、王道のイメージ通りに描かれます。

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 六人の武士が縁側に上がって待っていますと、やがて雷や稲光がしきりに起こって、大風のうなるような音がしはじめました。すると間もなくそこへ、一丈にもあまろうという大きな赤鬼が、髪の毛を逆立てて、お皿のような目をぎょろぎょろさせながら出てきました。その姿を一目見ただけで、だれだっておどろいて気を失わずにはいられません。(略)

 頼光はすぐ刀をふり上げて酒呑童子の大きな首をごろりと打ち落としてしまいました。酒呑童子の手足はそのまま動けなくなりましたが、切られた首だけは目をさまして、すっと空に飛び上がりました。そしていきなり頼光をめがけてかみついて来ようとしました。