1月20日は二十四節気の「大寒」。この日から立春の前日までおよそ2週間の期間をも指す。暦のうえでは、一年で最も寒い時期とされる◆地球温暖化が言われて久しいが、確かに子どもの頃の冬はもっと寒かったような気がする。毎年両手がひどいしもやけになり、皮膚が破れるので包帯でぐるぐる巻きにしていた苦い思い出もある。一番嫌いな季節だった◆気を付けないと鼻風邪などひきこむ季節でもあり、栄養価の高い食物を摂る必要がある。冬の食べ物はさまざまな鍋物、おでん、茶碗蒸し、石焼芋などいろいろあるが、特にこの時期ならではの「大寒卵」というものがあることを最近知った◆大寒初日、1月20日に生まれた卵のこと。昔、鶏は冬になる前に餌をしっかり食べ込み、寒くなると卵を生まずにじっとしていた。そのため大寒の頃に生まれた卵には栄養が凝縮されていたという。割ると栄養ありげに黄身のつやつやと盛り上がる卵を想像すると、早速熱い白飯にかけて手早く混ぜ、香り高い地元の醤油を回しかけて味わいたくなる◆特に寒い時期に生まれた卵は栄養価が高く日持ちするといい、「寒卵」は冬の季語にもなっている。筆者の好きな俳人の一人、高浜虚子の句に「ぬく飯に落として圓(まど)か寒卵」。同じく虚子に「手にとればほのとぬくしや寒卵」というのもある◆卵を離れて、単に「大寒」となると実に多彩な句が詠まれている。虚子は「大寒にまけじと老の起居(たちい)かな」と勇ましい。明治生まれの女性俳人長谷川かな女には「人恋しき大寒の夜を訪はれけり」と情感のこもった句がある◆大寒が過ぎれば立春。春の一字を思うと、癒やされる心地がする。待ち遠しいことである。(里)