先日、美浜町で行われた飛行ショーを観に行った際、アナウンスが聞こえない場所にいたため、飛行終了のタイミングがわからなかったが、SNS「X」を開いたところ、「飛行ショーを終え帰還中」との投稿が目に入った。龍神村で撮影された写真付きの投稿で、ショーが終わったことがわかり、SNSの即時性と情報拡散力の強さをあらためて実感した。

 SNSは、日常のささいな出来事から大規模なイベントまで、あらゆる情報を瞬時に共有できるツールとして定着している一方で、課題も顕著になりつつある。11月に行われた兵庫県知事選挙では、SNSや動画サイトを駆使した選挙運動が話題を呼んだ。特に若い世代の関心を集め、劣勢だった状況を巻き返したとの声も出ている。一方で、根拠のない情報や偽情報が拡散し、混乱を招いたとの指摘もある。

 SNSをはじめとするネットは、テレビなど一方通行のメディアと異なり、多種多様な情報があり誰もが発言できる特徴がある一方、匿名の個人が発信した誤った情報であっても広く拡散されれば真実として受け止められてしまう面もある。またネット全体で見れば公平な情報があったとしても、利用者自身が知りたい情報ばかり選び取ってしまえば、公平な情報取得は難しく、またSNSの仕組み上、利用者の関心に応じた情報が表示されることもある。

 「個人情報の流出」「誤情報の拡散」「詐欺への悪用」など課題も多いが、いまや多くの人の生活の一部になっているSNS。ツールとしてさらに機能が進化してこれらの課題が克服されることに期待する一方、利用者も情報を精査する力や多様な視点を受け入れる力などを養い、ともに進化していくことが必要だ。(城)