29日、20年ぶりとなるみなべ町長選挙が実施され、元町議の山本秀平氏が当選。年齢は32歳と、現職町長では全国で2番目に若い町のリーダー誕生となった。
 今回の選挙戦の一連の動きを取材した。今年3月、小谷芳正前町長が5選を目指してまず立候補を表明。4月に山本氏、7月に3人目の男性が立候補を表明した。しかし8月に入り、状況は目まぐるしく変わった。

 同月7日、小谷前町長が死去した。その後継として早川正志氏が告示1カ月前に急きょ名乗りを上げ、3番目に立候補を表明した男性が辞退。最終的に山本氏と早川氏、新人2人の一騎打ちの構図となった。

 合併で新町が誕生して20年。これまで町長選は無投票が続いていたが、今回の選挙は、これまでの町政が問われ、まちのこれからを考える、ある意味まちの転機になる選挙になったのではないかと思った。両候補が舌戦を交わし、まちの課題と解決策、まちのこれからの未来や希望を町じゅうに発信していったことで、住民一人ひとりが当事者意識を持って何かを考えるきっかけになったはずだと思いたい。私自身は町外だが、選挙中の5日間だけでも、自分の住んでいるまちのこれからを考える機会があることは、恵まれているともいえるし、羨ましいとも感じたから。

 取材を通して、両候補のまちに対する情熱も感じ取ることもできた。防災や産業振興など、主張する施策には、それぞれの体験に裏付けられた想いがあったし、何よりも、自分が住むまちを大切に思う気持ちが伝わってきた。

 住民の付託を受け、新たに選ばれた山本新町長。新しいまちのリーダーの活躍を改めて期待している。(鞘)