先日、運転免許の更新を済ませた。優良運転者ではなく、過去に交通違反歴のある違反運転者に該当し、2時間の講習を受けた。運転免許センターの職員が近年の事故状況、危険運転、運転者の心構えなどを説明。自動車学校に通い、初めて免許を取得し、ハンドルを握った約40年前の若かりし頃を思い出した▼誰しも免許を取得した直後は「車は凶器にもなり得る。細心の注意が必要。安全運転に心がけ、事故や違反をしないようにしよう」と思ったはずだ。もちろん、筆者もそうだった。しかし、毎日のように車を運転していると、次第にその考えが薄らいでしまっていたようだ。今回の免許更新に関しても一旦停止を怠ってしまったため、講習を受けなければならないハメになった▼政治の世界でも同じではないか。当選した当初は「住民の生活をよくしたい」「地域を活性化させたい」という気持ちだっただろう。しかし、その考えとは相反し、国会議員らの不祥事がしばしば報じられている。最近では自民党議員の裏金問題が発覚し、多くの国会議員が関わっていたことが明るみにもなった。国民の利益よりも私欲に走った結果といえるだろう。重要なのは「初心忘るべからず」ということで、物事を始めたときの純粋な心構えを保つことが大切だ。それには常に自分を律し続けなければ、最初の目的から外れた方向に進んでしまうこともある▼岸田文雄首相の後任を選ぶ自民党総裁選が27日に行われ、石破茂元幹事長が選ばれた。過去最多となる9人が立候補し、決選投票で高市早苗氏との激戦を制した。新しく石破首相が誕生することになるが、石破新総理には今の気構えを忘れず、初心を貫き通されることを期待したい。(雄)