景観緑肥植物の種をまく区民

 日高町小浦地区で進められている県のほ場整備事業の田んぼを活用し、小浦土地改良区が中心となって無農薬・無化学肥料で「小浦れんげ米」の栽培を計画している。耕作と販売は、町内の若手農業者でつくるアッセンブル日高(白井雄太代表)が担う。来年度からの取り組み開始へ、23日には土づくりを兼ねて、景観緑肥植物の種まきが行われ、区民挙げてブランド米創出への一歩を踏み出した。

 ほ場整備事業は2020年度に着工。大小さまざまな形もいびつな田んぼ177枚を55枚に区画整理する事業で、総面積10㌶のうち、今年3月末までに4㌶が完成した。全体完成は26年度末。所有者の後継者不足が深刻化する中、歴史ある田んぼを守るため、今後はアッセンブル日高が栽培を担うことが決まっている。JA紀州は技術指導などで協力する。

 これまでの化学肥料を多用する農業から脱却し、農薬も化学肥料も使わず緑肥を活用した循環型農業に転換する取り組みとして「れんげ米」を栽培する計画。既存の田んぼではこれまで使っていた化学肥料を抜くのに数年かかるが、小浦の田んぼはほ場整備事業のためここ7年ほど栽培しておらず、すぐに完全無農薬・無化学肥料でスタートできる利点がある。れんげの種を秋にまき、来年4月ごろに咲く花の景観を楽しんだあと、そのまま田んぼにすき込んで肥料にし、田植えを行う計画だ。

 23日にはれんげ米への第一歩として、土づくりと景観のため、3㌶の田んぼにヒマワリ、フレンチマリーゴールドなど5種類の緑肥植物の種まきを実施。区民ら60人が参加し、手でまいたほか、御坊市のナーセリーナカムラの協力でドローンでも作業を行った。

 小浦土地改良区ほ場整備事業検討委員会事務局を務める山本喜代一さんは、「担い手が少ない中、アッセンブル日高の力を借りて歴史ある土地を守り、れんげ米の取り組みで農業の価値を高めたい」と期待。アッセンブルの白井代表は「無農薬・無化学肥料のれんげ米をブランド化することで、農地を守っていくことはもちろん、地域の活性化にもつなげていきたい」と話している。