現金や預金の蓄えを株などに投資する人が増え、家計の金融資産増加額のほとんどは投資関連資産が占めるという。今年からスタートした新しいNISA(少額投資非課税制度)がこの流れを加速させる一方、全国的に投資名目の特殊詐欺による被害が多発している。

 県内では昨年9月から11月にかけ、高額被害が3件続いた。9月のケースは、50代の女性がSNSで知り合った人物に「指示通りに投資すれば必ず儲かる」といわれ、指定された口座への送金と暗号資産の送金分、合わせて約900万円をだまし取られた。

 10月には30代の女性がSNSで「いま、この株を買えば絶対に上がる」という広告を見つけ、アクセスしてつながった男に投資話を持ちかけられ、12月にかけて5回にわたり、計950万円を送金してしまった。

 11月には、60代の女性がスマホで「儲かる株の銘柄を教えてくれる」という広告にアクセスし、相手に教えられた株を買って一度は利益が出たものの、さらに投資を増やすよう促され、出金に必要という経費も含め、指定された口座に計約2200万円を振り込んでしまったという。

 これらはいずれも被害者が儲かると信じて送金し、その後も何度も送金を求められてようやく不審に感じ、周囲や警察に相談して気づいたときには後の祭り。すでに現金は引き出され、泣き寝入りするしかないというのが実態である。

 NISAで投資ブームが過熱するなか、株を取引するにも初心者は勝手がわからず、知人に尋ねるのも気が引ける。だましてやろうと考えるワルにとって、そんなあなたはネギを背負って鍋の周りでキョロキョロしているカモ。SNS上の儲け話、無料の投資講座広告にはくれぐれもご用心を。(静)