う回路として高野川に仮歩道は設置されたが…

 先月20日、みなべ町高野地内の県道たかの金屋線で発生した大規模崩土の復旧が、長期化する可能性が高まっていることが分かった。不便を強いられている地元住民はう回路として、歩いて通れる小道を設置。さらに県はう回路となる仮車道を早急に整備する方針を固め、ルートなどの検討に入った。

 現場は天寶神社北約600㍍。大雨などで地盤が緩み、先月20日、延長60㍍、高さ40㍍にわたり山の斜面の崩土や擁壁ブロックのひび割れなどが発生。約500立方㍍と推定される土砂や木が県道全体に覆いかぶさり、全面通行止めとなった。


 日高振興局によると、その後も斜面が崩れる状況が続いており、復旧に向けては今後もボーリング調査や観察を続けて、まず崩れるメカニズムを調査する必要がある。復旧のめどは立っていないが、過去の地滑りが原因の崩土で復旧まで1年ほどかかった事例もあるという。


 県道は高野から印南町上洞までを結ぶ生活ルート。みなべ側から崩土現場の奥には26世帯77人が住む集落があり、集落からみなべ方面へ行くには印南町から遠回りを余儀なくされる。このため、地元住民は県道沿いを流れる高野川に延長200㍍の歩道を応急的に整備。県道から河川敷に降りる階段や川を越えるための丸太の設置などを行い、その後、県が歩道を補強し、簡易の街灯も設置。とりあえず歩いて通るルートは確保できたが、崩土現場の奥に住む男性(51)は「町内の職場に行くため、自宅から歩いて仮歩道を通り、その先の会館に止めている車に乗って通勤している。一日も早く復旧してほしい」。また、主婦らが買い物した荷物を持って仮歩道を歩くのは大変で、時間がかかっても車を運転して印南町回りをする人もいる。さらに、集落内での災害や急病等の救急対応も懸念されている。


 日高振興局建設部道路課は「住民の皆さまにはご迷惑をおかけしていますが、まだ山が動いており、いまの時点でいつ復旧できるか見通しがつかない。車が通れる仮設道路の設置を早期に進める」。町担当課は「集落から崩土現場を越えて地元の学校や保育所に通う子どもたちもいる。夏休みが終わる前に対応を検討したい」と話している。