「基本的な感染対策の徹底を」 と仁坂知事

 県内での新型コロナウイルス感染急拡大に伴い、コロナ病床使用率が65%を超えて逼迫(ひっぱく)しつつある状況を受け、仁坂吉伸知事は26日、「このままではパンクする恐れがある」と危機感をあらわにした。医師や看護師の感染でコロナ病床が一部使用できなくなる事態が発生していることも明かし、高齢者施設の感染者の入院を、再び施設内療養に切り替える必要があるとの見解を示した。

 県内のコロナ感染者は第6波が落ち着いて以降、6月下旬から再び増えて7月に入ってから急拡大。病床使用率も6月中旬は一桁台だったが、下旬から10%を超えてその後、30%、50%と急速に上昇。25日現在、確保しているコロナ病床529床に対して65・8%の使用率で、全国的にも高い数値となっている。

 県はこれまで感染者の全員入院を堅持していたが、第6波の時に病床使用率が最大99・7%(1月15日発表)となったことから、入院は重症化リスクのある人らに限定し、軽症や無症状者は自宅・ホテル療養に切り替え、現在もそのスタンスを継続。自宅・ホテル療養者は約5300人に上っており、それでも病床使用率がどんどん高くなる状況にある。

 仁坂知事は「病床数は徐々に増やしていくが、劇的に増やすようなことをするとほかのケアに影響がある。病床を増やしても、医者や看護師が感染して働けなくなり、実質の病床数が少なくなることがいまでも起こっている。1月や2月には高齢者施設の感染者を入院させず、その施設内で療養してもらっていたが、病床使用率がこれ以上高くなると再びそのシステムに戻さなければならない」と述べた。

 県民への行動制限は行わず、引き続き基本的な感染対策の徹底やワクチン接種、症状があった場合の速やかなクリニック受診などを強く呼びかけた。