移動献血車の中で血液採取される男性ら(ミナベ化工)

 全国的に毎年夏場は輸血用血液製剤に使われる血液不足に陥っており、特に今年は新型コロナ第7波による感染者急拡大とのダブルパンチで、一層の不足が懸念されている。

 県赤十字血液センター紀南出張所によると、現在、県内では移動献血車3台が連日稼働し、一日当たり1人400㍉㍑分、計150人分の採取を目標に各地で活動。しかし、夏は暑さのため献血会場へ行くのを避けたり、子どもたちの夏休みで大人もレジャーに出かけるなど、献血協力者が減る傾向にある。

 さらに県内ではコロナ感染者が急増しており、12・13・15日には過去最多を更新。現時点で不要不急の外出やイベント自粛などの行動制限はないため、献血活動は継続して行われているが、中には感染リスクを心配して献血を敬遠する人もいる。一度感染すると、献血を受けるにはコロナの症状が消えてから4週間待たなければならないため、感染者が増えれば増えるほど、20日間しか保管がきかない血液製剤の不足に大きな影響を与えるという。

 そんな中、各種団体や企業も献血に積極的に協力している。14日には南部ライオンズクラブ(谷本吉弘会長)が同紀南出張所に依頼して、気佐藤のミナベ化工株式会社と山内の井上梅干食品株式会社の敷地内で献血。従業員や関連会社社員ら計36人が協力した。ミナベ化工の山田祥生さん(61)は「10年以上前から年2、3回献血をさせてもらっています。誰かのため、少しでもお役に立てれば」と話していた。

 同クラブでは年間通してみなべ、印南、龍神で献血を実施しており、吉本雅彦保健血液委員長(65)は「企業さんの会場提供や従業員の協力に感謝しています」、紀南出張所の中山傑太さん(29)は「一度献血を受けた人は男性なら3カ月、女性なら4カ月の期間を空けないと次が受けられません。常にできるだけ多くの人の協力を」と呼びかけている。