2日未明に起こったKDDIの大規模な通信障害で、auやUQモバイルなどの電話回線がつながりにくくなる事態が発生した。86時間後の5日夕方には全面的に復旧したが、最大3915万人の利用者に影響した可能性があるという。読者の中にも携帯電話が使用できず、不便を感じた人もいたのではないだろうか。ネットのニュースによると、貨物列車の遅延、気象庁のアメダスの一部データが観測できないなどという思いもよらぬところにも影響があったようだ。

 携帯電話は二十数年前から急速に普及し始めた。それまでは出先からの連絡は公衆電話を利用していたが、今はほとんど携帯電話が用いられる。外出時は常に持ち運び、必要な連絡や会話はいつでもどこでも可能となった。寝る時でさえ枕元に置いて離さない必需品。人々の生活を変えた代表的なアイテムの一つであることは間違いない。

 人類は絶えず便利さを追求する。交通手段をみてみると、昔は歩いて移動していたが、自転車、自動車へと変化。科学の進歩に伴って飛行機や高速列車なども登場し、短時間に長距離移動が可能になった。日常生活では洗濯機や炊飯器、冷蔵庫などの電気製品が普及し、作業効率が飛躍的にアップした。新しい便利な商品が次々と登場し、半世紀前の人々には想像もつかなかったような世の中が存在する。

 半面、今回の通信障害のようにトラブルが発生すると全く機能しなくなるという危険性もある。さらにデジタル化された使用方法は中高年にとって分かりづらく、かえって煩わしさを感じてしまうことも。「人間はこれ以上、何を求めるのか」と、ふと考えてしまう。(雄)