三尾の大賀池を紹介しながら語る阪本さん㊨

 「二千年バス」と呼ばれる古代ハス、大賀ハスの開花70周年記念フォーラムが、種が発掘された千葉市で開催。和歌山大賀ハス保存会代表の阪本尚生さん(67)=御坊市塩屋町北塩屋=がパネリストとして出席し、全国でみられる「大賀ハス擬(もど)き」問題への対策を訴えた。

 大賀ハスは1951年、千葉市にあった東京大学検見川厚生農場の落合遺跡で発掘された、2000年以上前の古代ハス。翌年、植物学者でハスの権威の故大賀一郎博士が開花を成功させ、阪本さんの父で大賀博士の愛弟子だった故阪本祐二さんを通じて62年、美浜町三尾の池に大賀ハスが分根。65年、和歌山大賀ハス保存会が発足した。

 阪本さんはパネリストとして登壇し、「基本株保存の現状と課題、保存協定の必要性」について語った。「大賀ハスは蓮根で増やせば100%同じ遺伝子組成でつないでいけるが、種で増やした場合は親とはかなり違う組成になり、これを『大賀ハス』と称すると見た目も大賀ハスとは違う『擬き』になってしまう」と現状の問題点を説明。「和歌山県美浜町など、大賀博士が関わって分根し現在まで単一栽培されている、確かと思われる大賀ハスを千葉市に集め、厳密な管理で栽培する大賀ハスの標本園を作っていただき、『本来の大賀ハスはこういうものである』との姿を積極的に情報発信していただければ」など提案。分根地と千葉市で保存協定を結ぶなど、将来にわたって大賀ハスの保存を強固なものにしてほしい、と呼びかけた。