部隊を観閲する石黒司令

 美浜町和田、陸上自衛隊和歌山駐屯地(石黒仁司令)の創立60周年記念式典が5日、同駐屯地で行われた。新型コロナでおととし、昨年と中止しており、3年ぶりの開催。石黒司令は、長期化するロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮のミサイル開発、中国の力による現状変更など不安定要素が増している現状を踏まえ、国民の生命と財産を守る使命を果たす決意を新たにした。

 コロナ禍前は地域住民に開放して盛大に行っていたが、今回は一般公開はせず、来賓らを招いて式典のみ行った。

 二階俊博衆議院議員、県内県議、日高地方の各首長、自衛隊協力会関係者ら多くの来賓が見守る中、部隊が入場。軽快なリズムを奏でる兵庫県伊丹市の第3音楽隊を先頭に、海上からの敵の侵攻を水際で阻止する和歌山駐屯地所在の第304水際障害中隊、調達業務を担当する第398会計隊和歌山派遣隊、基地通信業務を担う第318基地通信中隊和歌山派遣隊、車両や機材の整備を行う第104施設直接支援大隊整備隊和歌山派遣隊が迷彩服姿で勇ましい行進を披露した。

 石黒司令は式辞で、創設以来、東日本大震災や紀伊半島大水害など27件の災害出動、国連事業の任務完遂、煙樹ケ浜での水際障害訓練などで着実に実力を高めてきたとし、「地域の皆さんや関係機関の理解と協力のおかげ」と感謝。国際情勢にも触れ「ロシアによるウクライナ侵攻、中国による東シナ海、南シナ海での一方的な現状変更の試み、北朝鮮による弾道ミサイル開発など我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している」と危惧し、「加えて新型コロナ禍、南海トラフ地震、台風や豪雨は激甚化傾向で、我々に課せられた使命は極めて重要」と強調。「国民の負託にこたえるべく、常に高い志を保持し、心と体を鍛え、技術を磨き、日々厳しい鍛錬に励まなければならない。心一つに、一つの塊となり、強大な力を発揮して任務を遂行しよう」と団結を求め、「60周年の大きな節目に地域の皆さんの生命と財産を守る使命を今まで以上に深く自覚し、地域とともにある駐屯地として新たな一歩へ力強く歩みを進めることを誓う」と決意を述べ、部隊を観閲した。

 二階衆院議員は「士気高く行進する姿を目の当たりにし、たのもしく感じた。感謝の気持ちを持ち続け、活動がスムーズに行われるよう地域としてできる限りの努力と協力をしていきたい」、籔内美和子町長も「南海トラフ地震の発生が懸念されるなど、皆さんの存在意義は極めて大きい。今後も連携して住民の安全安心に努めたい」と祝辞を述べた。

 式典後は第3音楽隊の演奏や装備品展示も行われた。